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zoom RSS 軍志(ぐんし) 第27話 継承者(終話)

<<   作成日時 : 2018/05/13 19:57   >>

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小谷城において近江国主浅井長政と師匠の竹中半兵衛が
見守る中、黒田官兵衛は、お市に語り始めた。
官兵衛「お市様。まずはこの官兵衛、お悔やみを申し上げます。
     またお市様の今のお気持ち、お察し致します。」
お市「官兵衛、私は・・・。」
官兵衛「今のお市様のお立場、この官兵衛よく理解できるつもり
     です。
     私と同じ過ちを犯したのですよね。
     私が姉様(=おたつ)を死に追いやったのと同じように。」
それを聞いたお市は頷き、涙を袖で葺いた。
そしてすすり泣くお市だった。
官兵衛は、その姿を静かに見守った。
後ろで聞いていた長政が小声で隣にいた半兵衛に尋ねた。
長政「官兵衛が姉御(=おたつ)を死に追いやっただと?」
半兵衛「【婚儀の夜襲】の話を覚えておるか?
     あれで敵襲に合い自刀して果てたのは、官兵衛の姉だった
     おたつなのだ。」
長政「何だと?」
半兵衛「あれは、官兵衛が嘗て仕えていた小寺家の主家である
     播磨守護赤松家の勧めでいた備前の浦上家との縁談が
     原因だ。小寺家と浦上家を縁組させて敵だった赤松政秀
     を包囲しようとした。それに危機感を感じた政秀は、
     先手を打ち浦上家を婚儀当日に夜襲をかけた。
     そして花嫁だったおたつは命を絶った。」
長政「それはわかったが何故それで官兵衛が死に追いやった事に
    なるのだ?」
半兵衛「その婚儀を評定の場で重臣たちを説き伏せたのが
     小寺政職殿の小姓だった官兵衛なのだ。」
長政「なっ・・・。」
半兵衛「政職殿は、官兵衛を試したのだ。自分の側に仕えるに値する者
     かと。官兵衛は、見事にその期待に応えた。
     だがそれと引き換えに大事な姉を失った。」
長政「それで死に追いやったかあ。気の毒にのう。
    だが、それと”同じ過ち”とは何なのだ?」
半兵衛「それは、(織田)信長殿の”守役”である平手政秀の”殉死”のことだ。」
長政「な、何だと!」
しばらくすると官兵衛が静かに語り始めた。
官兵衛「お市様、あなたは【墨俣砦攻防戦】で我ら美濃斎藤軍を騙すために
     信長様の父である信秀様に信長様に反旗を翻らせるふりをさせた。
     狙いの一つは、あたかも織田家が割れていると思わせるため。
     もう一つがこの近江の浅井長政様に密かに援軍を乞うため。」
お市「ああ、そうじゃ。」
官兵衛「そして戦が終わった後も信秀様に”背信者”を演じさせ続けた。
     目的は2つあった。
     ます1つは、尾張と美濃の諍いを全て終わらせるため。」
お市「ああ。」
官兵衛「そのために立てた筋書きは、完璧だった。
     ます信長様が戦の要因だった土岐一党を尾張から追放して
     お市様のいる近江の浅井家が引き受ける。
     同時に信秀様の尾張追放も行いそれもお市様が引き受ける。
     何故、そのような事をする必要があったか?
     理由は、織田家の、信長様の信用を傷つけないため。」
lこれを後ろで聞いていた長政が半兵衛に聞いた。
長政「信長の信用とは如何なることだ?」
半兵衛「家督相続の場合、信長は信秀の後継者まのだから信秀が約束した
     土岐家の再興をする義務が生じる。
     勿論、反故もできるがそれだと信長の信用に傷がつくだろ。」
長政「確かにのう。」
半兵衛「だが、信秀が家督相続した信長に反旗を翻がえしたらどうだ?
     背信を犯した信秀の約束なんて果たさなくてよいでは。ないか。
     さらに信長は、信秀の政策を全てひっくり返せるのだ。
     誰にも遠慮せずに自分のやりたい政治(まつりごと)ができる。」
長政「すごい事を考えたのう、信長は。」
半兵衛「いや、この絵図を書いたのはお市の方だ。」
これを聞いて長政は、驚愕した。
長政「なっ・・・。」
官兵衛は、その策の先を話した。
官兵衛「だがこのままでは、浅井家は余計な荷物を背負う事になる。
     ましてや信秀様は、一生背信者の汚名を着る事になる。
     だがそれを全て解消する一手を打った。
     それが”恩赦”だ。
     土岐家は、”嫡男斎藤義龍様の家督相続”。
     そして信秀様は、”お濃様の輿入れ”。」
お市「ああ、さすれば織田家と斎藤家は、念願の盟約が結べる。
    策は、完璧だったのだ。」
官兵衛「ですがこの策には、落とし穴があった。
     それは、信秀様の急死だ。
     これにより信秀様は、”背信者”の汚名を着たまま亡くなった。」
お市「ああ、私は大殿(=信秀)に本当に申し訳ない事をしてしなった。
    さらに信長の”守卓”だった平手(政秀)様が大殿のありもしない
    反旗を全て自分が被り、”殉死”させてしまった。」
官兵衛「まさに私が犯した過ちと同じ結果になってしまいましたね。」
お市「そうなるのう。」
長政「これが官兵衛の言う同じ過ち・・・。」
半兵衛「ああ。事情が少々異なるとはこの事だ。」
すると官兵衛は、お市にこう語りかけた。
官兵衛「こんな言い方は、おかしいですがあまりご自分をお責めになるのは、
     おやめ下さい。さもないとお二人が浮かばれませんよ。
     二人とも織田家のために尽くした結果ですし、それに人の生死は、
     お師匠様(=半兵衛)でも読めませんよ。」
お市「確かにそうなのだが・・・。」
官兵衛「それでももう二度とこのような思いをしたくないのであれば,、
     舞台を降りたらいかがですか?」
お市「舞台を降りるだと?」
官兵衛「はい、ここで身を引いても誰も責めませんよ。
     平手様は勿論、亡くなった姉様も。
     信長様もそうでしょう。
     皆、お市様は、よく戦われたとおっしゃるでしょう。」
お市「だがそれでは我が使命が果たせぬではないか・・・。」
官兵衛「ご安心下さい。お市様の使命も志も全てこの官兵衛が引き継ぎますから。」
お市「官兵衛・・・・。」
官兵衛「今、ここにこうして官兵衛があるのは、お市様が指し示してくれた”灯”の
     おかげです。それがなければきっと今も暗闇の中でもがいていたでしょう。
     だから今度は、私が恩義をお返しする番です。
     必ずこの官兵衛がお市様の”灯”を実現します。」
すると官兵衛は、こう続けた。

官兵衛「”戦なき世界(よ)”を!」

これを聞いた長政は、驚愕した。
長政「”戦なき世界(よ)”・・・。
    何てことを考えている女(おなご)なのだ!」
半兵衛「ああ、この言葉は。官兵衛だけでなくお屋形様(=斎藤道三)の心も動かした。
     その証拠に京上洛を果たしたときこの言葉を唱えた。」
長政「お市の方と美濃のお屋形様と通じているだと?」
半兵衛「ああ、謁見しているからのう。」
長政「そうなのかあ。すごいのう、俺もまだ会ったことすらないのに。」
半兵衛「だったら私が近々会う機会を作ってもよいぞ。
     ついでに信長とも。」
長政「どうやって?」
すると半兵衛が小声で耳打ちした。
長政「えっ?」
半兵衛「まあ、近江の命運がかかってる話だからよくよく考えるろよい。
     家中もまろめればならんだろ?」
長政「ああ。」

しばらくするとお市がこう答えた。
お市「官兵衛に全て委ねよう。
    織田家の行く末、よしなに頼む。」
官兵衛「はい、お任せ下さい。
     必ずあなた様の志を実現してご覧にいれます。」
これを見届けた半兵衛は、長政にこう言った。」
半兵衛「では、そろそろお暇するかのう。」
長政「おい、【尾張・美濃・近江盟約】の話は?」
半兵衛「詰めの話は、官兵衛としてくれ。
     私は、父上(=土岐頼芸)との諍いに終止符をうつ。
     あと、署名は日の下で堂々と行えばよいだろ。
     3人が一堂に会する日な。」
長政「まっ、そうだな。」
すると長政にまた半兵衛は、ある耳打ちをした。
それを聞いた長政は、少し頬が赤くなった。
半兵衛「そなたの武運、昔なじみとして祈ってる。」
そういうと半兵衛は、官兵衛を呼んだ。
半兵衛「官兵衛、行くぞ。
     最後の務めだ。」
官兵衛「はい。では、お市様。
     またお会いすrまでご壮健で。:
お市「ああ。官兵衛もな。」
こうして官兵衛と半兵衛は、長政を残してお市の部屋を去った。
官兵衛「うまく行きますかね?お市様と長政様。」
半兵衛「まあ、うまく吹き込んだから大丈夫だろう。」
官兵衛「そうですか。幸福になってくれるといいのですが。」
半兵衛「こんな戦国乱世だからなあ。どうなるかわからん。」
官兵衛「だからころもう終わらせなければ。:
半兵衛「だがなあ、官兵衛。
     お前は、これかた”ルビコン"を渡ることになる。
     そこに待っているのは、さらなる地獄だぞ。」
官兵衛「承知しています。ですがやるしかない。
     さもなければ”天下太平”の世界(よ)は築けない。」
半兵衛「そうだな。」
官兵衛と半兵衛は、お市の志を遂げるためにまた戦場へ向かうのだった。

〜終〜

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