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zoom RSS 黒田戦記 エピソード1「謀略(はかりごと)」(その12)

<<   作成日時 : 2018/06/09 18:52   >>

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赤松政秀の娘の誘拐の真相を主君の小寺政職から
聞き出した黒田官兵衛。
その官兵衛は、竹中半兵衛と共に主家である
守護赤松家の当主赤松義祐の置塩城に訪れていた。
義祐「ワシが政職に赤松政秀の娘を拐うように
    命じたと?」
半兵衛「ええ、政職からの証言です。」
義祐「そんな事を命じた記憶はないのう。」
官兵衛「我が主君(あるじ)が嘘を申しているというの
     ですか?」
義祐「嘘とは言わんがワシの命令(めい)を”忖度(そんたく)”
    したのではないかのう。」
半兵衛「忖度ですと?」
義祐「ああ、政秀の娘が公方様(=将軍足利義昭)の側室
    にあがる件に対し何か考えよとは申したがまさか
    拐あかしに及ぶなんて思わなかった。」
官兵衛「そんな言い訳が通じるとお思いですか!」
義祐「とは言えこれが事実だからのう。」
それに対し官兵衛が言い返そうとするのを半兵衛が制した。
半兵衛「あいわかりました。我が主(=織田信長)には
     そのようにお伝えします。」
義祐「ああ、信長様へはよしなに。」
義祐が去ろうとした時、官兵衛は、今にも掴みかかるような態度を
あからさまにしてこう捨て台詞を吐いた。
官兵衛「お屋形様(=義祐)、もし此度と同じように我が主(=政職)
     を窮地に陥れるような事あらば、この官兵衛、もう黙って
     従わないとお心得下さい。」
この官兵衛の無礼な物言いに義祐は当選怒った。
義祐「何だと!」
すると官兵衛は、一変してこう謝罪した。
官兵衛「何もできぬこの不肖官兵衛の無礼な物言い、
     どうかお許し下さい。」
すると半兵衛は、こう言って官兵衛をかばった。
半兵衛「赤松様、これはあくまで主君(あるじ)への忠義心
     から出た言葉でしょう。
     どうかそこをくみ取り下さい。」
それを聞いた義祐は、何も言わすにその場を去った。

その後、官兵衛は、半兵衛と共に姫路城に戻った。
半兵衛は、嘗て官兵衛が執務してた城主の部屋の奥の正面の席へ
一方、官兵衛は、向かいの席に座った。
そして二人っきりの密談が自然と始まった。
官兵衛「まさかあのような戯言をお信じになられませんよね?」
半兵衛「信じるも何も私は、そのままをお屋形様(=信長)に
     お報せするまで。」
官兵衛「ちょっと待って下さい・・・。」
半兵衛「しかし”忖度”とはよく言ったものだなあ。ふふふ。」
そう言うと半兵衛は、うすら笑った。
すると官兵衛は、半兵衛にこう尋ねた。
官兵衛「ならば単刀直入に伺います。
     此度の”謀略(はかりごと)”を仕掛けた狙いは、何ですか?」
半兵衛「それではまるで織田家(われら)が仕掛けた言い草だなあ。」
官兵衛「ええ、ずばり織田家(あなた方)の謀略だと言っています。
     さもばければこんなに手際よく左京進たちを捕らえることなんて
     できないはず。そうではありませんか?」
半兵衛「ああ、その通りだ。
     では、お主の見解をます聞いてみたいものだなあ。」
官兵衛「まさか私如きを落とすためににこんな手の込んだ事をしたとは
     しないでしょう。
     そこまで自惚れてはいませんよ。」
半兵衛「では、何だというのだ?」
官兵衛「それは、この播磨を手中にする事。」
半兵衛「さすがは、官兵衛だな。よくわかってるではないか。」  
官兵衛「ですが私が知りたいのはその先にあるもの。
     信長様は、この播磨を手に入れていったい何をなされるおつもり
     ですか?」
それを聞いた半兵衛は、官兵衛を震撼させる言葉を言い放った。

半兵衛「”天下統一”だ!」

官兵衛「”天下統一”ですと・・・。」
半兵衛「ああ、諸国の大名を全て従えさせてこの日本を統一し、
     【応仁の乱:】以来続く戦乱の世を終わらせ、
     ”戦なき新たな世界(よ)”を築く。
     それが我がお屋形様が目指しているものだ。」
官兵衛「何と・・・・。」
これを聞いた官兵衛は、ただ驚き言葉を失った。

無理もない。さすがの官兵衛もこの考えが常識からあまりに
かけ離れたものだったからだ。
そもそも現在言われている諸国の戦国大名が天下を目指していた
という定説が誤っているのだ。この当時、”天下統一”を目指していた
のは、織田信長のみである。
他の戦国大名は、己の領地と”下剋上”されぬように領主とお家を
守るのにのみに必死でそんな余裕もなかった。
そう、戦国乱世とは、”一所懸命”の世なのだ。
そんな中、信長だけが”天下統一”という考えに至ったのは、まさに天才
だった所以であろう。
あの武田信玄が天下を目指すのは、信長の真の目的を知ったからだ。

続けて半兵衛が語った。
半兵衛「その手始めとして播磨なのだ。
    ”天下統一”の”橋頭保”にするためにな。」
官兵衛「そういう事ですかあ。」 
半兵衛「そうだ。何故、足利尊氏公が後醍醐帝の南朝方に
     勝利して室町幕府を開けたのか?
     播磨に住むお主ならわかろう。」
官兵衛「それは、尊氏公が主家である守護赤松家の中興の祖で
     ある赤松円心様を味方にし、【白旗城の籠城戦】で南朝方
     の新田義貞と楠木正成の連合軍を釘付けにしたから。」
半兵衛「その通りだ。それにより尊氏公は、九州で再起する事
     ができた。
     そして再び上洛を果たし、【湊川の戦い】で勝利して
     ”天下”の趨勢を決した。
     つまり播磨を手中にしたものが”天下”を制するのだ。」
官兵衛「確かに地政学の観点からもそれは証明されている。
     この播磨は、京にとって西国に対する”防波堤”であり、
     また西国を攻めるための足掛かりにもなる。」
半兵衛「その通りだ。」
半兵衛「官兵衛、この流れを止める事は、誰にもできぬ。
      これに抵なうする者は、たとえ神仏であろうと
      織田家(我ら)の敵。」
すると半兵衛は、官兵衛に顔を近づけてこう迫った。
半兵衛「だから官兵衛、我が軍門に下れ。」
これに対し官兵衛は、言い返す言葉を見つけられなかった。

〜続く〜

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