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zoom RSS 黒田戦記 エピソード1「謀略(はかりごと)」(その13)

<<   作成日時 : 2018/06/10 20:04   >>

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織田信長が”天下統一”の足掛かりとして
播磨を手中にする事が狙いだと竹中半兵衛
から聞いた黒田官兵衛。
その夜、その半兵衛から姫路城で酒を飲み
かわしながら話を聞いた蜂須賀小六が心配した。
小六「大丈夫か?
    あまり官兵衛を追い詰めると窮鼠になって
    噛みつかれるやも知れぬぞ。」
半兵衛「心配無用だ。
     既に仕込んであるしな。」
小六「仕込んでるだと?」
半兵衛「ああ、官兵衛と初めて堺で会った日にな。」
小六「それは、いつの話だ?」
半兵衛「ちょうど5年前。その時の官兵衛は、15歳だな。
     会合衆の今井送久様の紹介で会ったのだ。
     ”播磨の知恵袋”と呼ばれる漢に会ってみないかと
     言われてな。」
そう言うと、半兵衛はその日の事を語り始めた。

当時、官兵衛は、小寺家重臣である櫛橋伊織の補佐役
として堺を訪れた。
偶然、半兵衛も堺に訪れていたので二人は会う事になった。
互いに挨を交わした後、官兵衛は、半兵衛にこのような事を尋ねた。
官兵衛「何かを決断すべき時にまず何を考えますか?」
それを聞いた半兵衛は、腕を組み直してこう答えた。
半兵衛「”大事”だ!」
官兵衛「”大事”ですか。」
半兵衛「”決断”とは、まさに己が生かしたき”大事”を選ぶ事。
    そのために他の”小事”捨てる事だ。
    だからこそ己にとっての”大事”は何なのかを常に問い
    続けている。」
官兵衛「己にとっての大事を問い続けるですかあ。」
半兵衛「ああ、そして決断を下したら・・・。」
そう前置きした半兵衛は、官兵衛にこう語った。

半兵衛「生かしたき大事を守るために戦い抜く事だ!」

それを聞いた官兵衛は、半兵衛に感銘を受けてこう答えた。
官兵「ありがとうございます。
    その教え決して忘れません。」
それを聞いた半兵衛は、黙って頷いた。

それを聞き終えた小六は、こう答えた。
小六「なるほど。それが半兵衛の”仕込み”かあ。
    それを忘れてなければよいがなあ。」
半兵衛「忘れるわけないさあ。」
小六「何故、そう言い切れるのだ?」
半兵衛「私も忘れてないからさ。”美濃のお屋形”のこの教えをな。」
半兵衛の言う”美濃のお屋形”とは、嘗ての美濃領主で信長の舅の
斎藤道三の事である。
小六「なるほどな。」
小六は、納得して手に持っていた盃の酒を飲み干した。

同じ頃、その官兵衛は、国府山城の自室である書状を書きながら
考えていた。
官兵衛「信長様が目指すものが”天下統一”。
     ならば私はどのように動くべきなのだ?
     恭順か、それとも戦うかを選択せねばならぬ。
     だがこれは、私だけでなく黒田家や小寺家、
     いや播磨の命運がかかっている。」
すると奥方の光が官兵衛の自室にお茶を持って訪れた。
官兵衛「ああ、すまない。光。」
光「何かお考えだったのですか?」
すると官兵衛は、ごまかすようにこう答えた。
官兵衛「いや、羽柴(秀吉)様に出す義兄上(=左京進)の
     ”助命嘆願状”の文言を考えていてな。」
光「そうだったのですかあ。」
これを聞いた光は、ある相談を官兵衛に持ち掛けた。
光「お前様(=官兵衛)、私も織田家の御台様(=帰蝶)に
   兄上(=左京進)の助命嘆願の書状をお送りしたい
   のですが。」
官兵衛「だが何か縁でもない限り一小大名のである
     小寺家(絵sが家)の城代の奥方の書状
     を読むだろうか?」
光「それなら大丈夫ですよ。
  御台様とは、以前から”歌会”の書状でよく
  やり取りしてましたから。」
官兵衛「何っ、”歌会”でやり取りだと?」
光「ええ、堺の千利休様が主催で武家や公家の姫君が歌を
  読み合ったり鑑賞して感想を書状でやり取りする
  会合です。他の諸国ともやり取りするのでほとんど
  の方々と顔合わせもしたことがありません。」
これは、今でいえばSNSのようなもので姫君たちが
こうして交流しあい歌の感性も同時に磨いていたのだ。
何で利休がこのような事をしていたかと言えば、歌から
諸国の情勢を集めたり、また縁談の仲介に役立てていた
のだ。
ちなみにその役目は、後にその姫君の一人だった春日局の
大奥が引き継ぐ。
これを聞いた官兵衛は、しばし考えてこう言った。
官兵衛「では、頼む。光。」
光「はい。」
書状を出す事に同意した官兵衛だったが口にできない懸念が
あった。
それは、やがて現実となり、二人に決断が迫られる事になる。

〜続く〜

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